ここまでで、営業プロセスを明らかにし課題を抽出・改善、デジタルツールを導入し、効率化を図りました。最後の仕上げとしてチームの意識改革を実施していただきたいと思います。
私が営業チームに必要であると考えるのは、プロ意識、フォロワーシップ、心理的安全性の確保の3つです。この3つの説明と常にチーム員が意識して活動できるように工夫について考えていきたいと思います。
営業のプロ意識とは
仕事をしている以上、労働に対する対価が発生している以上、プロでなければなりません。これは誰もが認識していることだと思いますが、実践できている人は少ないと思います。
新人時代は教育されることにより意識していても、業務に慣れるにつれ意識が薄れてしまい、惰性で業務に取り組んでいるなどが考えられます。
営業活動のベースの冒頭で述べましたが、売上を上げるための基本的な行動は二つです。私が考えるこれを実行するために必要なプロ意識は以下となります。
①自社取り扱い製品・サービスで顧客の課題を解決すること
・製品・サービス、関係する市場や企業の動向に詳しいこと(学習)
・製品・サービス以外の新しい知識や技術を積極的に取り込む(成長)
・得た知識を使って顧客の課題を解決出来る案を考える力(思考)
・相手の役に立つために努力すること(貢献)
②立てた目標を達成すること
・約束したことは必ず守る(決定事項、時間、期限)(達成) 守れない場合は事前に相談する
学習、成長、思考、貢献、達成の5つの意欲(自発的に取り組む気持ち)があり、実際に活動している人材がプロ意識があると考えます。
営業チームのフォロワーシップとは
チームには、ベースであるプロ意識があり、その上で、営業チーム員としてのフォローワーシップが必要であると考えます。
チーム全員がリーダーを含めた他メンバーを支援する言動
1.少人数営業チームで効果をあげるためには 少人数営業チームのあり方 ⑤補足で説明しましたが、(リーダー含め)誰もがすべてのプロセスが得意なわけではありません。それぞれがお互いの弱みを補完しあって、協力して一つの目的を達成する為に進んでいくチーム作りを行う必要があります。
チーム全員が、リーダー含めた他メンバーに対し、積極的に仕事を引き受けたり、建設的な意見を発信したり、チームで決めた施策、方針に向かい鼓舞しあったりすること、このお互いを支援する気持ちがあることで、成果が伴うチームになっていくと考えます。
※リーダーシップとの違い
リーダーシップもフォロワーシップも色々な表現がありますので、本内容では、リーダーシップとは、”チームで決定した方向に進むために先頭を走ること”とします。この先頭を走るのはリーダーだけではありません、営業プロセスの役割の中で、担当する業務、例えばアフターマーケット担当であれば、リーダーシップを発揮して、担当業務である保守・点検の取り込み促進の効率的な、効果的なやり方を考え、チーム内で意見交換の後、方向性を決め業務にあたります。
その中で、他メンバーがフォロワーシップを発揮し、業務過多や方向性の誤りを見つけたら、仕事を引き受けたり、建設的に意見交換をしたりします。つまり、フォロワーシップもリーダーシップも全員が発揮すべきものです。
ただ、本内容ではチームの協調性を主軸としていますので、あえてフォロワーシップが必要とさせていただきました。
心理的安全性の確保
最後に心理的安全性の確保です。
心理的安全性が確保されない限り、メンバーは前向きな気持ちになれず、プロ意識は芽生えません。また、チームに協力したい気持ちも生まれず、フォロワーシップも芽生えません。プロ意識、フォロワーシップを発揮してもらうには心理的安全性の確保が絶対に必要です。
0.営業活動のベース チームリーダーの役割 補足でヒアリングの心構えを提示しましたが、チームメンバー全員がメンバーの誰に対しても意識して
・先入観の排除
・話しやすい雰囲気をつくる
・決して怒らない(怒鳴らない、表情に出さない、無視しない)
これを守っていただき、誰がどんな意見を言っても、業務の理解が悪くても、馬鹿にされない、尊重される環境づくりをお願いしたいと思います。
チーム員が意識して活動するために
プロ意識、フォロワーシップ、心理的安全性についてはチームに根付くまでに時間を要する場合が多く、簡単ではないと思います。特に今までの文化とのギャップに戸惑ったり、変化に抵抗を感じたりするメンバーが出てくる可能性があり、現場から抵抗されてしまっては身動きが取れなくなってしまいます。その場合は徐々に変化していけるように、リーダーが率先して姿を見せ、繰り返し何故それが必要なのかを丁寧に説明していくことが求められます。
顧客の課題解決すること、目標を達成することが営業チームの使命であり、そのために意識改革が必要であることを、チームに合わせた言葉で簡潔に掲示し、都度掲示を使って変化を促すなど、リーダーの地道な努力が必要だと考えます。
ただ、リーダーだけが頑張れば変化できるわけではありません。メンバーが気付きを持たない限り変化は望めないと思います。メンバーに気付きをもってもらう為に、社外研修の活用をお勧めします。社内だけでは限界がありますので、社外講師の話しを聞くことによって、意識が大きく変わっていくこともあります。
今は研修会場に赴かなくても動画教材がありますので、比較的簡単に学ぶことが出来ます。動画研修の種類も増えていますので、導入の検討をお勧めします。
同じ目標に向かって、プロとしての自覚を持ち努力し、協調性をもって活動し、お互いを尊重し、弱点を補っていけるチームは強いチームです。例え望むような結果がすぐに手に入らずとも、必ず目標に到達できると確信します。
※社外研修受講のすすめ
営業チームに限った話しではありませんが、学習は継続的に行う必要があります。今の業務に必要ではないから学ばない、以前に勉強したから必要ない、では今の時代は生き残っていくのが、困難な時代に突入しています。
様々な技術、考え方が日々現れては早い速度で進化していますので、常に新しいことに触れ、学習していないとライバルに差を広げられてしまいます。
現実には個人の特性、得意不得意もあると思いますので、全員が最先端を行く必要はありません。ただ、最低限(コンプライアンスや社会人としてのベース知識)の研修は定期的に動画視聴の義務化などで、身に着けてもらう、見直し点検してもらう必要はあると考えます。
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