メールマガジンの運用例

メールマガジンは運用費用が安価でありながら、多数の顧客へ情報を簡単に届けることが出来ます。しかし、正しい運用をしないと効果が出ないばかりか、顧客に悪い印象を植え付けてしまう可能性があります。本記事では基本のポイントから運用までの流れを紹介します。

特定電子メールの送信の適正化等に関する法律

メールマガジンの配信を行う上でまず押さえなければならないのは”特定電子メールの送信の適正化等に関する法律”です。これは迷惑メールを規制する法律ですが、罰則規定もありますので、法律を理解し、順守し、顧客に迷惑メールと判断されない形でメール配信をする必要があります。

①オプトイン(同意した顧客にのみ配信することができる)

メール配信をするために必要な顧客のメールアドレスを取得をする際には、「商品やキャンペーンについてのご案内をお送りしてもよろしいでしょうか」等の設問を設け、チェックをしていただくことが必要です。これはWeb上でも紙面上(FAX含む)でも同じです。もしくは、個人情報の取り扱いについて記載している自社のページ(利用目的:広告含む弊社からの情報提供などが記載されていること)に遷移してもらい、同意にチェックをいれてもらうなどの対応が必要です。

顧客と名刺交換している場合やWeb上でメールアドレスが公開されている場合は、最初の送信に関しては同意は必要ありません。(紛らわしいので”名刺交換”の定義は、お互いがビジネス上でお付き合いをすることを同意をしたこと、とします)

但し、通信販売などの電子メール広告の場合には、特定商取引法が適用されるため、 請求・承諾なしに送信することはできません。また、メールアドレスが公開されていても、広告宣伝メールの送信をしないようにと記載されている場合は送信できません。

同意を証する記録の保存

①の同意を得た記録を保存することが必要です。口頭で許可を得た場合でも日付とその内容の記録保存が必要です。Web上、FAXなど他の紙面上で同意を得た場合も日付と方法(同意を得た形、同意を得た文面)の記録が必要です。保存期間は最後の送信をしてから1カ月間です。(ただし、特定電子メール法に基づく措置命令を受けた場合は、1年間)

特定商取引法上の通信販売電子メール広告などに該当する場合は、上記の記録に 加えて、以下の記録を、通信販売電子メール広告などを行った日から3年間保存する必要があります。

③表示義務

メール本文中に表示しなければならない項目がいくつかあります

送信者(送信を委託している場合は、送信者または委託者のうち送信に責任を有するもの)

受信拒否の通知ができる旨(配信停止手続はこちらから↓など)

受信拒否の通知を受けるための電子メールアドレス またはURL(リンクでも可)

送信者などの住所 (リンクでも可)

苦情・問合せなどを受け付けることができる電話番号、 電子メールアドレス、URL(リンクでも可)

特定商取引法上の販売業者などと 送信者などが異なる場合は、販売業者などの氏名または名称 および、相手方が電子メール広告の提供を受けない旨の意思を 表示するための電子メールアドレスまたはURL(リンクでも可)の表示が必要です。

受信拒否(オプトアウト)

①で送信について同意された場合であっても、受信拒否の 通知を受けた場合には、以後の送信が禁止されます。この記録についての保存義務はありませんが、後のトラブルを避けるために記録の保存はお願いします。

この受信拒否は”広告宣伝のために送信される電子メール”が該当しますので、ビジネス上の連絡(契約や取引の履行に関する事項を通知する電子メール、広告又は宣伝以外の行為を主たる目的として送信される電子メール(受信者の意思に反すること なく送信されるものに限る。)などは以後も送信可能です。

⑤罰則

オプトイン(同意と記録の保管)、送信者の表示義務(表示漏れ、偽りの表示)、受信拒否者への送信、架空電子メールアドレスあての送信を行った場合、罰則の対象となります。最高で「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、法人の場合には「行為者を罰する他、法人が3000万円以下の罰金を支払う」と定められています。

企業名やその詳細が総務省のWebサイトに掲載されますので、企業として信頼失墜です。絶対に避ける必要があります。

長々と記載しましたが、①送信者の同意を得て②その記録を保管、③正しい表示でメールを配信し④受信拒否があった場合は以後広告などのメール一斉配信はしないとなりますので、特に難しいことはありません。ただ、トラブルを避けるためにも、メール配信ツール(MAツール)を使用し、ツールベンダーと相談の上、表示義務の抜け漏れ、オプトアウトの管理をお勧めします。

※赤字で記載した”通信販売などの電子メール広告”は特定商取引法が適用され、本記事の内容、特定電子メール法規制の内容とは異なります、ご注意ください。

目的を明確にし配信頻度を検討する

メールマガジンを配信する目的は大きく分けて以下3つです。

リードの育成としての課題解決提案(新製品や独自技術の紹介)

販売促進(キャンペーンやクーポン情報の提供)

顧客ファン化(ユーザー向けにお役立ち情報の配信)

目的が異なるので、当然ターゲット顧客は異なります。目的に応じてターゲットを分け、配信リストを作成する必要があります。ヘビーユーザーであれば3つとも受信しても喜んでもらえる可能性はありますので3つ、案件化まで進んでいる顧客であれば販売促進メールで決定の後押しをする、など状況により配信リストを作成、メンテすると効果は期待できます。

※準備段階ではリストの分類、メンテナンスに膨大な時間がかかる可能性があります。分類ルールやメンテナンスのルールを設け、以後のメンテンナンスに時間がかからない様に工夫することをお勧めします。

配信頻度は続けることを前提に無理のない範囲でスタートすることをお勧めします。配信頻度が上がればその分顧客との接点が増えますが、配信内容が薄くなったり、売込みが強いと敬遠されたりすることも考えられますので、取扱商品にあった配信頻度を設定することが必要です。設定した配信頻度で配信できるよう、スケジューラーに落とし込み関係者と工程を共有してください。

※メール配信については配信リストに基づき、Bccで送信をする形になりますが、これは配信の抜け漏れ、迷惑メールに振り分けられる、間違ってToで送信した場合、個人情報保護法に抵触してしまうなどリスクが非常に大きいです。この点からもメール配信ツールの導入をお勧めします。

配信内容の決定とHTMLメールの作成

各目的に合った配信内容を考えます。

配信内容は販売したい気持ちが強くならないように、顧客目線で作成します。また、挨拶と本編の間に自己開示や季節の話題を入れると、親近感を持ってもらえ、今後も読んで頂ける可能性が上がります。

メールには文字だけで構成されるテキスト形式のメールと画像データも表示させるHTML形式のメールがありますが、視覚的に訴えられるHTML形式でのメール作成をお勧めします。ただ作成にはHTMLコーディングの知識が必要になります、フォーマットさえいくつか作成してしまえば、画像と文の入れ替えだけですので、それほど難しいものではありません。

とは言っても、興味がなければわざわざ勉強する必要もないと思いますので、メールマガジン用のHTMLメールを作成できる機能がある配信ツール(MAツール)の導入をお勧めします。

※HTMLメールの場合、内容を画像で補足、文字に色を付け強調などが可能になりますが、見た目を重視するのではなく、あくまでも顧客の目線に立った内容、顧客が喜ぶ内容での配信が前提になります。見た目も良いことには越したことはありませんが、見た目やフォームを気にするのではなく、内容にこだわったものを作成していただきたいと思います。

効果測定

メールマガジンの配信が終了後、反応があった顧客へは電話などで、必ずフォローを実施し、案件化を目指します。

配信ツール(MAツール)を導入すれば、開封率やクリック率、コンバージョン率などがわかりますので、配信回数を重ねていくとどの顧客が何に興味を示しているのか、などもわかってきます。

先ずはメールを開封してもらわないといけないので、開封率の差(一般的にタイトルや配信時間で開封率が変わると言われています)は何が原因なのかを推測し、トライを繰り返して効果が出る方法を見つけ出すことが必要です。

このようにメールマガジンの運用はやり続けることで成果が得られるようになってきます。短期的な成果を求めすぎず、継続を意識して、また、配信解除者はあまり気にせず、長期的に取り組んで頂きたいと思います。

各章でも都度お勧めしましたが、メールマガジンの運用には配信ツール(MAツール)がないと難しい部分があります。

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