問題社員への対応

営業組織改革を実行する際、大きな障壁となりうるのがチーム員の士気の低下です。要因は様々ですが、対話を続けても、意識改革を進めても、状況が改善しないケースもあるかと思います。

不満を抱えている部分がどこなのか対話で見つけ出し、対策を講じられれば良いですが、そもそもの不満が本人の勘違いで、その勘違いを指摘したり、考え方修正のお願いには耳も貸さない人材にあたってしまうことが、あるかと思います。解決には時間がかかりますが、以下を参考に改善努力をお願いいたします。

代表的な問題行動

パターンとしては以下4つがあるかと思います。

① 変化に弱い、変化について行こうという気持ちがなく、今までのやり方が正解であると強硬に主張したり、新たなやり方に取り組まず反対する。

② 同じミスを繰り返す、話しをすると理解しているようだが、実際は理解していないので、またミスをする、業務に興味がないのか理解する気持ちがない。

③ 自分より弱い立場、能力が低いと判断した場合は年上年下、上司部下、社内外かまわず横柄な態度をとる。他者と協力して業務を進める気持ちがない。

④ 仕事をしない(業務時間にさぼる、遅刻する)、素行不良

様々な問題行動で、受注拡大活動以前にリーダーの神経をすり減らしてしまっては意味がありませんので、そのような人材にあたってしまった場合の対応を事前に決めておくのが良いと考えます。

何が問題なのか明確に伝える

先ずはチーム運営で何が問題なのか、どう改善して欲しいのか明確に伝え、改善を促す

この明確の伝え方は、口頭や注意文章だけでは、より感情的に反発されるリスクが潜んでいますので、業務改善シートなどを作成し、企業として、チームとして、望んでいる姿を明示し、現状を本人が思うところ、リーダーが見た状況、経営幹部見た状況を記載し、ギャップを明らかにし、そのギャップを期限内に改善努力することを約束させます。

期限内に改善されれば良いですが、改善されない場合は再度繰り返します。3度繰り返して何ら進展がない場合は、配置転換などの対策をとる必要があると思います。

業務改善シート_例

業務改善シートの実施と対応

①のケースの場合、変化を嫌がっているだけですので、企業として、チームとして変えていかなければならないこと、それが企業としての判断だと理解をしてもらえれば、嫌々ながらも表面上は従うと思います。その後④の様な素行不良に移行する場合は別途対処を考える必要があります。

②のケースの場合、一見やる気が見えない様に感じられますが、思っている以上に初期の段階(営業の役割が何か、チーム内での役割は何か、プロ意識の欠如)から躓いている可能性がありますし、また、本人はやる気だが、やり方が理解できないので苦しんでいる、でも表情や態度に出さない、などが考えられます。

このケースは本人の状態を推察し、話し合いを進め、状況を理解することに多大な労力がかかります。ただ、改善出来れば他のケースと比べ戦力に直結しやすいと考えますので、力は入れるべきだと思います。

③のケースの場合、本人に実力があり(本人がそう思っているだけで実際は実力がない場合も多い)、過去、企業として、チームとして適切な指導をしてこなかった為、本人がそれで良い、問題ないと考えていることが考えられます。あらためて改善シートで態度の改善が必要であることを認識させ、改善を約束してもらい変化を促します。

これにより満点の改善は望めませんが、合格点までは改善する可能性があると思います。ただ、本人の性格に起因する場合は一時的に改善しても、時間がたつと繰り返すことがあるので、考課に評価を追加し、考課面談時の度に状況確認と注意を継続していくなど、対策が必要です。

④のケースの場合、改善シートで改善すれば良いですが難しい場合は、弁護士に相談してください。ただし、遅刻や著しく業務遂行能力に課題がある場合は、何らかの障害がある可能性もありますので、慎重に判断をするようにしていただきたいと思います。

実際に起こる人的問題は4つのケースが複雑に絡み合った状態であり、簡単には解決できませんが、改善シートなどを使って、粘り強く改善できるように取り組んで頂けましたら幸いです。

問題行動を起こさせないために

前章 意識改革でも研修について述べましたが、問題を起こさせない、問題が起きたとしても大きな問題に発展させないために出来ることは、継続的な社員教育だと思います。

一度実施したからで良いのではなく、重要な問題(コンプライアンス違反)については、毎年教育を受ける義務をルール化し、問題行動を抑制する仕組みづくりが必要であると考えます。

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